現代の空き家を取巻く環境と解決策 -その1-

空き家の環境

この記事では、現代の空き家をとりまく環境と解決策について説明していきます。

どうして空き家が増えたのか、社会的な要因は何か、どんな空き家が存在しているか、地方で空き家が急増する理由税金に至るまで、あらゆる面から空き家についての現状を 2回に分けてお知らせしたいと思います。

現在空き家をお持ちの方や、そうでない方もご覧いただければ幸いです。

 

空き家が増える要因

先行き不明

空き家が増える要因それは次のようなことが挙げられます。

  • 少子高齢化による人口減少
  • 新築住宅の供給過多
  • 新築住宅と中古住宅との需要バランス
  • 固定資産税の税金増加対策
  • 相続問題の発生

それらを一つ一つ詳しく見ていきたいと思います。

 

少子高齢化による人口減少

何よりも分かりやすいのが人口の減少。日本の総人口は平成20年にもっとも多くなったのを境に、どんどん減少している状況は皆さんご存じだと思います。

今後も少子高齢化は進み、人口は減少していくといわれており、そんな日本の総人口と、総住宅数の推移を比較してみると以下の表のようになります。

年度総人口総住宅数
2003年(平成15年)127,694,000人5,389万戸
2008年(平成20年)128,084,000人5,759万戸
2013年(平成25年)127,414,000人6,063万戸
2018年(平成30年)126,443,000人6,242万戸
総務省統計局調査より

人口が減少傾向に入った平成20年以降も総住宅数は増加傾向で推移しているのがわかります。

その理由の一つとして考えられるのが核家族化です。

昔は2世帯・3世帯が住むことが普通でしたが、1世代に1軒の住宅に住むことが一般化したため、実家が空き家になっていくケースが多く見られるようになりました。

もう一つは高齢化に伴い、居住しなくなった住まいが増えたことです。

2013年の総務省調査によると全国の空き家数は約820万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家という状況で、これが2033年頃には空き家数2150万戸、全住宅の3戸に1戸が空き家になってしまうという民間予測となっています。

 

新築住宅の供給過多

日本は昔から新築住宅の人気が高く、中古住宅の流通量が少ない国と言われています。

欧米諸国と日本の中古住宅・新築住宅の割合を以下の表より比較してみました。

新築住宅割合中古住宅割合
日本1,174,000件(88%)157,000件(12%)
アメリカ1,705,000件(23%)5,566,000件(77%)
イギリス196,000件(11%)1,586,000件(89%)
フランス304,000件(29%)733,000(71%)
国土交通省平成17年調査

欧米諸国では中古住宅の割合が70%以上を占める一方で、日本の割合は12%ということから、圧倒的に新築住宅の需要が高いことがわかります。

新築と中古住宅において欧米と日本を比べた場合、新築と中古の割合が逆転しているかのようですね。

多くの中古住宅があるにも関わらず、販売戸数の9割近くが新築住宅である日本は、これからも空き家が増えていくことが容易に予想できます。

 

新築住宅と中古住宅の供給バランス

日本においては新築住宅への人気が高く、一方で中古住宅はまだまだ流通量が少ないのが現状です。

皆さんのまわりを見回してみても、「マイホームを買った」というと、中古住宅ではなく新築住宅のほうが多かったりしていませんか?

国土交通省のデータによると、日本の新築住宅着工戸数は98万戸なのに対して中古住宅流通量は17万戸。

先ほど表で紹介したように、住宅全体に占める中古住宅の比率は12%に留まっています。

空き家は誰も居住しなくなった住宅を指しますが、どんな住宅が空き家になるかというと、住んでいた人が引っ越したり亡くなったりしたあと、売却されたり賃貸にも出されたりしなかったものがほとんどのようです。

多くの不動産が存在しているにもかかわらず新築住宅が選ばれる理由は、もちろん立地の問題などもありますが、日本人の新築に対する思いの強さが背景にあるのではないでしょうか。

日本人の新築住宅への思いの強さは、戦後の日本が復興していくなかで国策として住宅の新築をあと押しする施策がとられていたことも原因の一つかもしれません。でもそれは戦後の日本とって必要なことなのだったということを否定はできません。

 

固定資産税の税金増加対策

空き家が有効利用されない要因にあげられるのが、固定資産税です。

土地を解体して売却すればよいのでは?と考える方もいると思いますが、更地にすることで、空き地として土地を所有している際より固定資産税が高税率になってしまいます。

空き家は使わなくても所有しているだけで毎年固定資産税を支払う必要がありますが、固定資産税には「土地に建物が建っていると土地の面積200㎡までの分について6分の1に減額される」という特例があります。

つまり、空き家を解体して更地にするとこの特例の対象外になり、一気に固定資産税の負担額が6倍増になってしまうのです。

この固定資産税という税金は、単に土地を持っているだけの場合と、その土地に家屋が建っている場合では税額が大きく変わってきます。

固定資産税は一般的に以下の公式で算出されます。

固定資産税=課税標準額×税率ー軽減額

課税標準額とは簡単に言えば、その土地の価格を基準に算出した価格です。

一般的に公示地価の7割となっていて、各市町村長(東京23区の場合は東京都知事)が定めています。

土地として所有している場合は、この計算式での算出となりますが、その土地に住宅が建っている場合、課税標準価格に特例がかかり、固定資産税分は1/6に、都市計画税分は1/3で計算されます。

固定資産税を算出する場合は、さらに負担水準や軽減税額などを算出する必要がありますが、それでも基となる課税標準額が大幅に軽減されるため、土地で所有するより、建物を建てたまま所有したほうが固定資産税を抑えられるのが事実です。

 

相続問題の発生

相続問題もまた空き家増加の要因の1つです。

空き家の所有者が亡くなった場合、法的拘束力のある遺言がある場合を除いて、空き家も遺族が相続する形になります。

相続人が1人であれば大きな問題にはなりませんが、複数人いる場合は話し合いが必要となります。

相続人の同意がなければ、物件の処理や土地の売却などの手続きを行うことができません。

相続が争続になっていまい、結果として空き家となってしまうのです。

相続問題により交渉が進まず放置される空き家は、所有者がいることから行政が勝手に処分することもできないという現状もあります。

 

空き家の種類と割合

空き家の種類

総務省統計局が発表した、「平成30年住宅・土地統計調査」によると、平成30年の総住宅数は6,242万戸です。

これは平成25年の同調査における総住宅数より179万戸(3.0%)増加していることになります。

一方この総住宅数の中で、空き家は846万戸あり、空き家率は13.6%で過去最高を記録しています。

空き家の数は昭和36年以降増加の一途を辿っており、昭和63年~平成30年の30年間で452万戸(114.7%)と2倍以上に増加しています。

空き家の種類空き家の割合
賃貸用住宅51%
売却用住宅3%
2次的住宅5%
その他の住宅41%
総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査

賃貸用住宅は新築・中古を問わず賃貸のために空き家になっている住宅です。

空き家のなかでも過半数の51%を賃貸用住宅が占めています。

賃貸用住宅は、具体的には人に貸すように建てられたマンションやアパート、戸建てのうち入居者のいないものを指します。

アパートやマンションのすべてが空室の物件というわけではなく、1室空いていればその部屋は空き家としてカウントされます。

売却用住宅は新築・中古を問わず売却のために空き家になっている住宅です。

不動産の売却には「住みながら売却する方法」と「空き家にしてから売却する方法」がありますが、基本的には空き家にしてから売却したほうがスムーズに売却しやすくなります。

ただし、家は売りに出してもすぐに買い手が見つかるかとは限らず、この状態の空き家を売却用住宅としています。

なお、空き家全体のうち3%が売却用住宅です。

二次的住宅は別荘などのように利用されている住宅(セカンドハウス)です。

賃貸用住宅や売却用住宅はつねに人が住んでいない状態ですが、二次的住宅には人が生活しているときと生活していないときがあります。

空き家全体のうち、二次的住宅は5%を占めます。

その他の上記3つ以外で、なんらかの理由により長期不在状態となっている住宅です。

空き家全体のうち、その他の住宅が占める割合は41%です。

 

この記事でのまとめ

ここでは大きく分けて2つ、空き家が増える要因・空き家の種類について記事を書きました。

原因は一つではなく、ライフスタイルの変化や、戦後の政策による新築思考、税金や相続なども深く関っています。かつ現代は少子化をいうこともあり、空き家は増え続けていくことになるでしょう。

次回の 現代の空き家をとりまく環境 -その2- では、問題解決をどう図っていくかということを踏まえ説明しますのでどうぞご覧下さい。

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